Webサイト制作は作る前で差がつく|企画・設計で使えるフレームワークをわかりやすく整理
「ホームページを作りたい」と思ったとき、つい最初に考えてしまうのがデザインです。おしゃれにしたい、見やすくしたい、今風にしたい。もちろんそれも大切です。
ただ、実際にはサイトの成果は、見た目を作り始める前の段階でかなり決まります。
なぜなら、Webサイトは単なる見た目の作品ではなく、「誰に」「何を」「どう伝えて」「どんな行動につなげるか」を設計する営業ツールであり、案内ツールであり、信頼づくりの装置でもあるからです。
この企画と設計が曖昧なまま進めてしまうと、公開後に「アクセスはあるのに問い合わせが来ない」「情報は載っているのに強みが伝わらない」「更新しにくくて結局止まる」といったことが起こりやすくなります。
逆に、制作前に考えるべきことを整理しておけば、デザインや文章、導線、集客、公開後の運用まで含めて、一貫したサイトにしやすくなります。
今回は、Webサイト制作の企画・設計段階でよく使われるフレームワークを、実務でどう使うかという視点で整理します。難しそうな言葉も出てきますが、全部を一度に完璧に使いこなす必要はありません。大事なのは、「今どの段階で、何を整理するための道具なのか」を知ることです。
1. 現状分析とヒアリング|まずは“なぜ作るのか”を整理する
ホームページを作りたいんですが、まず何から始めればいいですか?
いきなり作り始めるのではなく、まず今の状況を整理するところからです。
Webサイト制作は、いきなり「どう作るか」を考えるより先に、「なぜ作るのか」を明確にするところから始まります。
今のサイトに何が足りないのか。そもそもサイトがないなら、何を目的に新しく作るのか。問い合わせを増やしたいのか、会社案内として使いたいのか、採用に使いたいのか。この整理が曖昧なまま進むと、途中から判断軸がぶれやすくなります。
この段階でよく使われるフレームワークは、3C分析、5フォース分析、SWOT分析です。
3C分析
3C分析は、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で状況を見る方法です。
例えばWeb制作なら、
・顧客はどんな人か
・競合は何を強みにしているか
・自社は何で選ばれやすいか
を整理できます。
「自分たちは何ができるか」だけで考えると、どうしても社内目線に寄りがちです。3C分析を入れることで、市場の中で自社を見やすくなります。
5フォース分析
5フォース分析は、業界全体の圧力を見るための考え方です。
競合の強さだけでなく、
・既存競合の強さ
・新規参入のしやすさ
・代替手段の多さ
・売り手の交渉力
・買い手の交渉力
まで見るので、「がんばれば何とかなる」とは別の構造的な厳しさも見えてきます。
たとえばWeb制作なら、AIツールやノーコードサービスの普及、価格競争、比較サイト経由の相見積もりなども無視できません。
SWOT分析
SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を整理する方法です。
3Cや5フォースで見えた外部環境を、自社の強み・弱みと結びつけやすいのが利点です。企画段階で「何を活かし、何を避け、どこで勝負するか」を整理するのに向いています。いことも大切です。
作る側は「この説明で十分伝わる」と思っていても、初めてサイトを見る人には専門用語が多すぎたり、強みが伝わっていなかったりすることがよくあります。
だからこそ、実際のお客様の声や、問い合わせ時によく聞かれる質問を拾う価値があります。
3C分析 5フォース分析 SWOT分析 STP(Segmentation / Targeting) ペルソナ カスタマージャーニー STP(Positioning) ポジショニングマップ USP CSF SMART KGI / KPI 4P / 4C コンテンツ設計 情報設計(IA) ユーザーフロー コンテンツマップ 運用フロー 担当表 PDCA WBS 工数見積 ROI
現状分析とヒアリング|具体的にやること:
今のサイトがある場合は、
・何が伝わっていないか
・競合と比べて弱い点は何か
・逆に自社らしさは何か
を3つずつ書き出してみてください。
サイトがまだない場合は、
・競合3社
・お客様によく聞かれる質問
・自社の強みと弱み
をメモにするところから始めると整理しやすくなります。
2. ターゲットユーザーの設定|誰に届けるかを具体化する
できるだけ多くの人に見てもらいたいのですが、それで大丈夫ですか?
広く考えすぎるより、まずは誰にいちばん届けたいのかを具体的に決めたほうが伝わりやすくなります。
「できるだけ多くの人に見てもらいたい」という考え方は自然ですが、Webサイトでは広げすぎるほど伝わりにくくなることがあります。
同じ「ホームページを作りたい人」でも、起業したばかりの個人事業主と、社内で比較検討している法人担当者では、知りたいことがかなり違います。
ここで役立つのが、STPのうちSegmentationとTargeting、そしてペルソナ設計です。
STP(Segmentation / Targeting)
Segmentationは市場を分けること、Targetingはその中でどこを狙うかを決めることです。
例えばWeb制作でも、
・小規模事業者向け
・採用強化したい企業向け
・店舗集客したい事業者向け
・BtoB企業向け
などで必要な情報は変わります。
最初から全員に届けようとするより、「まず誰に一番届けるか」を決めたほうが、文章も導線も強くなります。
ペルソナ
ペルソナは、理想のお客様像を具体的に描く考え方です。
年齢や職種だけでなく、
・何に困っているか
・何を不安に思っているか
・何が比較ポイントになるか
・どんな言葉に反応するか
まで考えると、コンテンツの精度が上がります。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、お客様が「知る→比較する→相談する→依頼する」までの流れを整理する方法です。
これを考えると、
・最初に必要な情報
・比較段階で必要な情報
・最後のひと押しになる情報
が見えやすくなります。
ターゲットユーザーの設定|具体的にやること:
理想のお客様を一人決めて、
・どんな立場か
・今どんな課題があるか
・何が不安か
・何を見て比較するか
を書き出してみてください。
そのうえで、「この人は検索から来るのか、紹介で来るのか、SNSで知るのか」まで考えると、サイトに必要なページが見えやすくなります。
3. ポジショニング|何で選ばれる会社かを決める
うちはいろいろできますが、サイトでは何をいちばん伝えればいいですか?
全部を並べるより、まず何で選ばれたいのかをはっきりさせることが大切です。
企画段階でよくあるのが、「うちはいろいろできます」という状態です。もちろん対応範囲が広いことは強みですが、サイト上で全部を並べると、逆に印象が薄くなりやすくなります。
ここで役立つのが、STPのPositioning、ポジショニングマップ、USPです。
STP(Positioning)
Positioningは、市場の中でどういう立ち位置を取るかを決めることです。
例えば同じWeb制作でも、
・低価格で早い会社
・デザイン重視の会社
・SEOや集客まで伴走する会社
・特定業種に強い会社
・公開後の運用支援に強い会社
では見せ方が変わります。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、競合と自社の違いを軸で見える化する方法です。
たとえば、
・価格が安い / 高い
・デザイン重視 / 集客重視
・短納期 / 伴走型
といった2軸で並べると、自社がどこに立つべきかが見えやすくなります。
USP
USPは、他社ではなく自社を選ぶ理由を一言で整理する考え方です。
「何でもできます」ではなく、
「地域密着で相談しやすい」
「撮影から編集、公開後の更新まで一貫対応」
「Web制作だけでなく映像やドローンも含めて提案できる」
のように、選ばれる理由を言語化していきます。
ポジショニング|具体的にやること:
競合3社を並べて、
・価格
・強み
・対応範囲
・サポート体制
を比較してみてください。
そのうえで、「自社は何で覚えてもらいたいか」を一文で書くと、ポジショニングの骨格が見えやすくなります。
4. 目標設定|作ることではなく、成果を定義する
サイトを完成させることが目標でいいですか?
完成はスタートなので、公開後に何を増やしたいのかまで決めておくことが重要です。
Webサイトは、公開した時点で終わりではなく、そこから成果につなげるものです。だからこそ、「完成すること」ではなく「公開後に何を増やしたいか」を先に決める必要があります。
この段階で役立つのが、SMART、KGI / KPI、CSFです。
SMART
SMARTは、目標を具体化するための考え方です。
目標は、
・具体的か
・測定できるか
・現実的か
・目的に合っているか
・期限があるか
を意識すると、ふわっとした言葉で終わりにくくなります。
KGI / KPI
KGIは最終ゴール、KPIは途中の確認指標です。
たとえば、
KGI:月5件の問い合わせ獲得
KPI:サービスページ閲覧数、問い合わせ率、記事からの流入数
のように分けると、改善の打ち手が見えやすくなります。
CSF
CSFは、目標達成のために特に重要な成功要因を整理する考え方です。
問い合わせを増やしたいなら、
・強みが一瞬で伝わること
・料金や流れがわかること
・実績や事例があること
・問い合わせしやすいこと
などがCSFになるかもしれません。
目標設定|具体的にやること:
「公開後に最も増やしたい行動」を一つ決めてください。
問い合わせ、資料請求、LINE登録、採用応募など、最重要の行動を一つに絞るだけでも設計がぶれにくくなります。
5. 情報設計|必要なページと流れを先に作る
まずトップページから考えればいいですか?
トップページの前に、必要なページ全体を整理してサイトの地図を作るほうが進めやすいです。
トップページから考え始めると、途中で「この情報はどこに置くべきか」が迷いやすくなります。先に全体の地図を作ったほうが進めやすいです。
この段階で役立つのが、情報設計(IA)、ユーザーフロー、コンテンツマップです。
情報設計(IA)
IAは、サイト全体の情報の整理の仕方を考えることです。
何のページが必要で、どう分類し、どこから辿り着けるようにするか。これが曖昧だと、ユーザーも迷いますし、運用時にもページが増やしにくくなります。
ユーザーフロー
ユーザーフローは、お客様がどの順番でページを見るかを整理する考え方です。
たとえば、
記事 → サービスページ → 実績 → 問い合わせ
の流れなのか、
トップページ → 料金 → FAQ → 問い合わせ
なのかで、必要な導線が変わります。
コンテンツマップ
コンテンツマップは、どのページにどんな内容を置くかを整理する設計図です。
情報設計|具体的にやること:
まずは、
・トップ
・サービス
・料金
・事例
・FAQ
・会社概要
・問い合わせ
を書き出してください。
その後、「このページを見た人は次にどこへ行くべきか」を矢印でつなぐと、基本的な設計図ができます。\
6. 集客設計|公開後にどう見てもらうかを決める
ホームページは作れば自然に見てもらえますか?
公開しただけでは集まりにくいので、最初からSEOやSNSなど集客方法まで考えておく必要があります。
ホームページは、公開しただけで自然に見てもらえるとは限りません。最初から、どこから人を呼ぶかまで考えておく必要があります。
この段階で役立つのが、4P / 4C、コンテンツ設計、ROIです。
4P / 4C
4Pは売り手視点、4Cは買い手視点で整理する方法です。
Web制作で考えるなら、
・Product / Customer Value:何を提供して、相手にどんな価値があるか
・Price / Cost:価格や負担感はどうか
・Place / Convenience:どこで接点を作るか
・Promotion / Communication:どう伝えるか
を見直せます。
コンテンツ設計
SEOやSNSを意識する場合は、コンテンツ設計が重要です。
誰が、どんな悩みで検索し、どのページに着地し、どんな導線で問い合わせまで進むかを考えておくと、公開後の集客が安定しやすくなります。
ROI
ROIは、かけたコストに対してどのくらい成果が返ってくるかを見る考え方です。
すべてを数字で厳密に測るのは難しくても、「どの施策にどれくらい時間や費用をかけるか」は見ておく価値があります。
集客設計|具体的にやること:
集客の入口を3つまでに絞ってください。
たとえば、
・SEO
・SNS
・営業でURL案内
です。
そのうえで、それぞれの入口から来た人が最初に見るべきページを考えると、必要な記事や導線が見えてきます。
7. 運用設計|公開後に止まらない仕組みを作る
公開したら、あとは必要なときに更新すればいいですか?
更新が止まりやすいので、誰が何をどう運用するのかを先に決めておくことが大切です。
サイトは公開後に育てるものですが、実際には公開した瞬間に更新が止まることも少なくありません。原因の多くは、「誰が何をどう更新するか」が決まっていないことです。
この段階で役立つのが、運用フロー、担当表、PDCAです。
運用フロー
運用フローは、更新の流れを決めることです。
誰が原稿を出し、誰が確認し、誰が公開するのか。ここが曖昧だと、更新は止まりやすくなります。
担当表
担当表は、誰がどの役割を持つかを見える化するものです。
・記事を書く人
・写真を用意する人
・公開する人
・分析を見る人
を決めるだけでも、運用の停滞をかなり防げます。
PDCA
PDCAは、公開して終わりではなく、改善を回すための考え方です。
計画して、実行して、確認して、改善する。この流れを前提にしておくと、サイトを少しずつ強くできます。
運用設計|具体的にやること:
A4一枚でよいので、
・誰が
・何を
・どの頻度で
・どのツールで
更新するかを決めておくのがおすすめです。
8. 予算・リソース算定|理想と現実をすり合わせる
高品質で安くて早いサイトを作りたいのですが可能ですか?
理想は大切ですが、実際は予算・品質・納期の優先順位を決めて進めることが成功の近道です。
Web制作では、「高品質で、安くて、早く」が同時にかなうとは限りません。ここで重要なのは、何を優先するかを先に決めることです。
この段階で役立つのが、WBS、工数見積、ROIです。
WBS
WBSは、プロジェクトを細かい作業単位に分けて整理する方法です。
企画、設計、原稿、撮影、デザイン、コーディング、公開準備などを分けて見える化すると、抜け漏れや遅れを防ぎやすくなります。
工数見積
工数見積は、各作業にどれくらい時間がかかるかを考えることです。
これを見ずに進めると、「思ったより原稿が重い」「画像準備に時間がかかる」「確認が長引く」といったことが起きやすくなります。
ROI
ここでもROIは重要です。
限られた予算の中で、何に最も投資するべきかを見極めることで、第一弾公開の現実的な形が見えてきます。
現状分析とヒアリング|具体的にやること:
やりたいことを、
・絶対に必要
・できれば入れたい
・今回は見送る
の3段階に分けてみてください。
これだけでも、相談や見積もりの精度はかなり上がります。
まとめ|フレームワークは“考える順番”を整える道具
Webサイト制作の企画段階では、考えることが多すぎて、どこから整理すればいいか分からなくなりやすいものです。
そんなときに役立つのがフレームワークです。
3C分析で市場の中の自社を見る。
5フォース分析で業界の圧を見る。
SWOT分析で強みと機会を整理する。
STPやペルソナで誰に届けるかを明確にする。
ポジショニングやUSPで何で選ばれるかを決める。
SMARTやKGI / KPIで成果を言語化する。
IAやユーザーフローで情報を整理する。
4P / 4Cやコンテンツ設計で集客を考える。
運用フローやPDCAで公開後を止めない。
WBSや工数見積で現実的に進める。
全部を一気に使わなくても大丈夫です。
大切なのは、感覚だけで進めず、「今は何を決める段階なのか」をはっきりさせることです。企画が固まれば、デザインも文章も導線も、ずっと進めやすくなります。
Webサイトは、作る前の整理で差がつきます。見た目の前に設計あり。急がば回れですが、Web制作ではこの順番がいちばん効きます。
おすすめの使い方としては、まず3C・SWOTで現状を整理し、そのあとSTP・ペルソナで相手を定め、KGI / KPIで目標を置き、IA・ユーザーフローで構成を作る流れです。最初に少し丁寧に考えるだけで、公開後の迷いはかなり減らせます。
補足すると、noteとsolabブログは次のように分けるとSEO上も内容上も住み分けしやすいです。